2008年12月06日
第3回 栃の木フォーラム&納豆フォーラム前夜祭!
昨夜、京北町のゼミナールハウスにて、第3回栃の木フォーラムの
プレ企画、そして、納豆フォーラムの前夜祭が開催されました。
私たち立命館組は、当日夕方に、会場であるゼミナールハウスに
到着。NPO組みは先発で、12時には会場入りで、設営を早々に
済まされていました。午後6時に、夕食&風呂。
午後7時、まず、14日に本番を迎える第3回栃の木フォーラムの
プレ企画が開催されました。京北町の喫茶店カモノセキャビンの
オーナーであり、木こりでもある大前さんをお招きして、木こりの
目を通して京北の森とその変化について語っていただき、そこから
「環境保全を考える」という大きなテーマに接近してみました。
木こりという仕事から話が始まり、戦後の植林政策を経て、京北の
林業が国際競争の中で次第に停滞していく様、そうしたなかで山に
人の手が入らなくなるようになって、間伐がなされず、あるいは間伐が
なされても、運び出しのコストの問題からその間伐材が放置される
ことで、山が荒れ果てていく様が生々しく、語られました。そして、
そのような山の荒廃が流域に、土石流発生の環境リスクを生み出し
うること、また、戦後の植林政策における針葉樹(杉、ひのき)重視が、
どんぐりの木など落葉広葉樹の減少につながり、その結果、鹿や猪、
熊などのえさの減少、さらには今日の獣害の広がりにつながって
きているのではないか、といったことなどについても話が及びました。
こうした、現在の山や林業が直面している一連の問題に対しての
解決策についても、大前さんから興味深い話を聞くことができました。
まず何よりも、自然が一種、数理的とも思える合理性を持っている
ということに大きく印象付けられました。土石流のリスクの話などは、
自然は人間が自由に加工できる、そのような存在ではなく、自然の
一部を人間が操作することが、より大きな自然の(人間にとっては
思いもしなかった)変化をもたらすということを改めて思い至りました。
また山の手入れは、単に植林すればよいというのではないことにも
大きく印象付けられました。つまり、それは、植林の仕方そのものにも
配慮する必要があるということです。京北では古老が、同種の樹木
ばかりでなく、針葉樹と広葉樹をモザイク的に混ぜ合わせて行っていく
ことの重要性を話していたそうです。大前さんは、そうして植えられた
広葉樹が落とすどんぐりや、また、そうした広葉樹を切った後に生える
低草木がえさとなり、里に下りてきて害を与えている鹿や熊なども、
また山に戻っていくのでは、と言います。
なかでも広葉樹は秋に切ればまた再生するが、春に切ると夏の暑さの
中で枯れてしまうのだという話も、自然環境の合理性を思わせる興味
深いお話でした。
また、林業の見通しについても、大前さんによれば、戦後に外材を必要
とした時期があり、そうして外材を積極的に入れてきたのだから、そもそも、
現在のような状況がやってくるのはある意味必然だったし、今さら外材が
悪いとかいうのはどうか、とも。しかし、これからは、林業のもつ経済性だけ
ではなく、森林や山の持つ保水機能など環境保全上の多面的な機能にも
目を向けて、植林を進めていく必要があるといいます。
しかし、植林が進まないのはなぜか。それは政治的重要性がないからだ、
と大前さんは言います。要するに、植林を訴えたところで、政治家は票は
取れないということです。ではどうすればいいのか、大前さんの答えは明快
です。環境団体がもっと動くこと、そうして政治力をもって行政を動かして
いくことです。なるほど、と思いました。その他、山の手入れをしてくれる
Uターン、Iターン者が最近増えてきており、そうした人たちなどの支援も
また重要であることなども指摘されました。
他方で、保全に必要な大木を切らざるをえないということがあり、その背景
には山林を代々相続する際の相続税の問題があるというお話もまた興味
深いものでした。山林の相続時に相続税がかけられ、その相続税を支払う
お金を大木を切ってまかなうしかないこと、そうして得たお金は、相続税の
支払いに使われるだけでなく、所得として所得税の対象となるというのです。
大木がはりめぐらす大きな根は、山の斜面をしっかりとつかみ、土砂崩れを
防ぎ、土石流をも防ぐのですが。。。山の保全には、税体系の変更もまた
求められる対策の一つなのです。
そんなこんなで、あっという間に、予定した1時間半が過ぎたのでした。
大学の環境論の講義ではなかなか聞くことのできない、歴史的体験と
現場感覚に由来する、生々しさに満ちた興味深い話だったと思います。
確かに、大前さんの話はフォーラムのテーマである「環境保全を考える」
について大いに示唆を与えてくれるものでした。
さて、午後8時半からは、翌日の納豆フォーラムの前夜祭です。要するに、
納豆作りの関係者のみならず、京北の地元の方々も参加されての親睦
交流会です。喧々諤々、にぎやかに、京北の課題と活性化について
さまざまに話がなされました。そうしたなか、私たちがつくった手づくり
納豆も供されました。私も一口、食べましたが、今年もよい出来で、
美味しい!と思いました。郷に入っては郷に従えのとおり、京北流の
食べ方、つまり、塩をふっていただくのが一番です。
話も尽きず、どんどん夜は更けて、結局、散会は午前2時!フラフラに
なりながら、それぞれ部屋に戻り、眠りについたのです。楽しい夜でした。
プレ企画、そして、納豆フォーラムの前夜祭が開催されました。
私たち立命館組は、当日夕方に、会場であるゼミナールハウスに
到着。NPO組みは先発で、12時には会場入りで、設営を早々に
済まされていました。午後6時に、夕食&風呂。
午後7時、まず、14日に本番を迎える第3回栃の木フォーラムの
プレ企画が開催されました。京北町の喫茶店カモノセキャビンの
オーナーであり、木こりでもある大前さんをお招きして、木こりの
目を通して京北の森とその変化について語っていただき、そこから
「環境保全を考える」という大きなテーマに接近してみました。
木こりという仕事から話が始まり、戦後の植林政策を経て、京北の
林業が国際競争の中で次第に停滞していく様、そうしたなかで山に
人の手が入らなくなるようになって、間伐がなされず、あるいは間伐が
なされても、運び出しのコストの問題からその間伐材が放置される
ことで、山が荒れ果てていく様が生々しく、語られました。そして、
そのような山の荒廃が流域に、土石流発生の環境リスクを生み出し
うること、また、戦後の植林政策における針葉樹(杉、ひのき)重視が、
どんぐりの木など落葉広葉樹の減少につながり、その結果、鹿や猪、
熊などのえさの減少、さらには今日の獣害の広がりにつながって
きているのではないか、といったことなどについても話が及びました。
こうした、現在の山や林業が直面している一連の問題に対しての
解決策についても、大前さんから興味深い話を聞くことができました。
まず何よりも、自然が一種、数理的とも思える合理性を持っている
ということに大きく印象付けられました。土石流のリスクの話などは、
自然は人間が自由に加工できる、そのような存在ではなく、自然の
一部を人間が操作することが、より大きな自然の(人間にとっては
思いもしなかった)変化をもたらすということを改めて思い至りました。
また山の手入れは、単に植林すればよいというのではないことにも
大きく印象付けられました。つまり、それは、植林の仕方そのものにも
配慮する必要があるということです。京北では古老が、同種の樹木
ばかりでなく、針葉樹と広葉樹をモザイク的に混ぜ合わせて行っていく
ことの重要性を話していたそうです。大前さんは、そうして植えられた
広葉樹が落とすどんぐりや、また、そうした広葉樹を切った後に生える
低草木がえさとなり、里に下りてきて害を与えている鹿や熊なども、
また山に戻っていくのでは、と言います。
なかでも広葉樹は秋に切ればまた再生するが、春に切ると夏の暑さの
中で枯れてしまうのだという話も、自然環境の合理性を思わせる興味
深いお話でした。
また、林業の見通しについても、大前さんによれば、戦後に外材を必要
とした時期があり、そうして外材を積極的に入れてきたのだから、そもそも、
現在のような状況がやってくるのはある意味必然だったし、今さら外材が
悪いとかいうのはどうか、とも。しかし、これからは、林業のもつ経済性だけ
ではなく、森林や山の持つ保水機能など環境保全上の多面的な機能にも
目を向けて、植林を進めていく必要があるといいます。
しかし、植林が進まないのはなぜか。それは政治的重要性がないからだ、
と大前さんは言います。要するに、植林を訴えたところで、政治家は票は
取れないということです。ではどうすればいいのか、大前さんの答えは明快
です。環境団体がもっと動くこと、そうして政治力をもって行政を動かして
いくことです。なるほど、と思いました。その他、山の手入れをしてくれる
Uターン、Iターン者が最近増えてきており、そうした人たちなどの支援も
また重要であることなども指摘されました。
他方で、保全に必要な大木を切らざるをえないということがあり、その背景
には山林を代々相続する際の相続税の問題があるというお話もまた興味
深いものでした。山林の相続時に相続税がかけられ、その相続税を支払う
お金を大木を切ってまかなうしかないこと、そうして得たお金は、相続税の
支払いに使われるだけでなく、所得として所得税の対象となるというのです。
大木がはりめぐらす大きな根は、山の斜面をしっかりとつかみ、土砂崩れを
防ぎ、土石流をも防ぐのですが。。。山の保全には、税体系の変更もまた
求められる対策の一つなのです。
そんなこんなで、あっという間に、予定した1時間半が過ぎたのでした。
大学の環境論の講義ではなかなか聞くことのできない、歴史的体験と
現場感覚に由来する、生々しさに満ちた興味深い話だったと思います。
確かに、大前さんの話はフォーラムのテーマである「環境保全を考える」
について大いに示唆を与えてくれるものでした。
さて、午後8時半からは、翌日の納豆フォーラムの前夜祭です。要するに、
納豆作りの関係者のみならず、京北の地元の方々も参加されての親睦
交流会です。喧々諤々、にぎやかに、京北の課題と活性化について
さまざまに話がなされました。そうしたなか、私たちがつくった手づくり
納豆も供されました。私も一口、食べましたが、今年もよい出来で、
美味しい!と思いました。郷に入っては郷に従えのとおり、京北流の
食べ方、つまり、塩をふっていただくのが一番です。
話も尽きず、どんどん夜は更けて、結局、散会は午前2時!フラフラに
なりながら、それぞれ部屋に戻り、眠りについたのです。楽しい夜でした。
Posted by 京北プロジェクト幹事T at 23:59│Comments(0)
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